宮崎安貞〈みやざきやすさだ〉は、日本で出版された最初の本格的な農書である「農業全書」の著者として有名な人物です。福岡市総合図書館に寄託されている「農業全書」は、宮崎家に伝来したもので、昭和40年に福岡県指定文化財となりました。
宮崎安貞は、元和9年(1623)に安芸国広島藩士の子として生まれ、20代半ばで福岡藩に仕官した後にいったん職を辞し、貞享年中(1684~1688)に再び福岡藩に仕官したと伝えられています。安貞は糸島郡周船寺〈すせんじ〉村女原〈みょうばる〉(現、福岡市西区女原)に定住し、自ら農業に従事しました。彼が開発したとされる新田は、後世に「宮崎開き」と呼ばれることになります。「農業全書」は全11巻が作られました。第1巻には益軒の叙文・安貞の自序・凡例などが収録されており、巻11には楽軒の「附録」が収められています。巻2~巻10は「五穀之類」「菜之類」など、およそ150種類もの作物の解説が記されています。
「黄門様」で知られる水戸藩の徳川光圀(1628~1701)は、「農業全書」を「是人世不可一日無之之書也(これは人の世に一日たりともなくてはすまされない書物である)」と絶賛しました。
本資料は、当館2階の文書資料室にて紙焼複製本にて閲覧して頂くことができます
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